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地震についての基礎知識(1)/ホームメイト

地震の対策にはまず「地震を知る」事が大切です。
ここでは避難前の準備、家具の転倒防止や消火活動の基本等、地震についての基礎知識をご紹介します。
地震とは?

地震大国日本とはいえ、正しい知識を持っている方は少ないものです。
地震のしくみ

地震とは地殻やマントル内で自然に起こる急激な変動と、その変動によって発生する地殻の弾性波動で地面が揺れ動く現象のことをいいます。
海側のプレートは、年間数cmの速さで、陸側のプレートの下に沈んでいきます。このとき、陸側のプレートの下の部分を摩擦の力で下にひきずり込み、ひずみが生じます。
陸側のプレートはひずみに耐えられなくなり、一気にはね返るのです。この衝撃によって発生するのが地震です。
地震の用語
- 断層
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地殻の中にできた割れ目を境にして両側の地盤が互いにずれているものです。
- 活断層
-
将来、地震を引き起こす可能性のある断層のことです。
- 地震波
-
地震によって発生した振動が地球内部を伝わっていく時の波のことをいいます。
- 震源
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地震波が地球内部の1つの点で発生したとするとその点のことをいいます。
- 震央
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震源の真上に位置する地表地点のことです。
- 液状化現象
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地震の衝動で砂地盤の泥水が地表へ噴出し、液体のような状態になる現象のことです。
- 震度
-
ある場所における地震動(地震によって発生する地面の振動)の強さの程度を表すものです。
- マグニチュード
-
地震全体の規模(大きさ)を表すもので、Mとも記します。
震度の目安

ここでは、震度の階級についてご紹介します。
- 0(無感)
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- 人は揺れを感じませんが、地震計に記録されます。
- 1(微震)
-
- 屋内にいる人の一部が、わずかな揺れを感じます。
- 2(軽震)
-
- 屋内にいる人の多くが揺れを感じます。
- 電灯などのつり下げ物がわずかに揺れます。
- 3(弱震)
-
- 屋内にいるほとんどの人が揺れを感じます。
- 棚にある食器類が音を立てます。
- 4(中震)
-
- かなりの恐怖感があり、歩いている人も揺れを感じます。
- つり下げものが大きく揺れます。
- 5弱(強震)
-
- 多くの人が、身の安全を図ろうとします。
- 一部の人は行動に支障を感じます。
- つり下げものは激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがあります。
- また窓ガラスが割れて落ちることがあります。
- 電柱が揺れているのが分かります。
- 5強(強震)
-
- 非常な恐怖を感じます。
- 棚にある食器類、書棚の本の多くが落ち、タンスなど重い家具が倒れることがあります。
- 自動車の運転が困難となります。
- 6弱(烈震)
-
- 立っていることが困難になります。
- 固定していない重い家具の多くが移動、転倒します。開かなくなるドアが多くなります。
- かなりの建物で、壁のタイルや窓ガラスが破損、落下します。
- 耐震性の低い住宅では、倒壊するものがあります。
- 6強(烈震)
-
- 立っていることができず、這わないと動くことができません。
- 固定していない重い家具のほとんどが、移動、転倒し、戸が外れて飛ぶことがあります。
- 多くの建物で、壁のタイルや窓ガラスが破損、落下します。
- 耐震性の低い住宅では、倒壊するものが多くなります。
- 7(激震)
-
- 揺れに翻弄され、自分の意志で行動できません。
- ほとんどの家具が大きく移動し、飛ぶものもあります。
- ほとんどの建物で、壁のタイルや窓ガラスが破損、落下します。
- 耐震性の高い住宅でも、傾いたり、大きく破壊するものがあります。
家具の転倒や落下を防ぐ

突然襲ってくる地震、家の中にいて地震が起きたとき、最も恐いのは家具の転倒や落下による被害です。
地震発生時には、背の高い、または重量のある家具が私達の寝ている上に倒れてくることさえあります。
家具の転倒に要注意

2004年(平成16年)10月23日に発生した、「新潟県中越地震」では、以下のような大きな被害を出しました。
多くの住民がケガをした原因は、「家具類の転倒・落下物」が約41%で最も多かったそうです。(東京消防庁調べ)
- マグニチュード・・・6.8
- 死者・行方不明者・・・68人
- 負傷者・・・4,805人
- 家屋全壊・・・3,175棟
- 半壊・・・1万3,808棟
- 一部損壊・・・10万4,917棟
家財散乱にも要注意

新潟県中越地震・宮城県北部地震(2003年7月)・紀伊半島沖地震(2004年9月)で震度6の揺れに襲われた地域の被害者(新潟・宮城・和歌山)に面接調査を行なったところ、8割の家庭で家具類が室内に激しく散乱し、ケガの要因の約6割を占めたそうです。(読売新聞社調べ)
1995年(平成7年)1月17日に発生した、阪神・淡路大震災でも、家具の転倒や落下によって、多くの死亡者や負傷者が発生しました。
家具類の転倒防止に関する調査結果
家具類の転倒防止に関する調査結果をご紹介します。
- 東京消防庁が都民を対象に実施した調査
-
- ■Question
- 家具類の転倒・落下防止対策を実施しているか?
- ■Answer
- 実施している・・・約28%
- ■地震対策を実施していない理由
-
- 壁に傷をつけるから
- 対策を行なうと見た目が悪くなるから
※賃貸住宅では「壁に傷をつけることができないから、対策はしにくい」という入居者も多い。
- 読売新聞の世論調査
-
- ■Question
- 新潟県中越地震で、阪神・淡路大震災の経験は生かされたか?
- ■Answer
- 生かされた・・・75%
- ■Question
- 家具類の転倒防止などの対策を取っているか?(新潟県)
- ■Answer
- いいえ・・・58%
- 関連お役立ちコンテンツ
逃げ道を確保する
- 避難用のスリッパや靴は必需品!
-
地震がおさまって移動しようとしたとき、床がガラスの破片でいっぱいという事態も考えられるため、必ず用意しておきましょう。
- 部屋の出入り口付近には家具を置かない
-
室内から避難しようにも、ドアに家具が倒れかかって開かなかったり、通路に物が散乱して通れないといった事態も起こり得ます。廊下や階段もできるだけスペースをとり、避難通路を常に確保しておくようにしましょう。
ガス・水道・電気

ガス・水道・電気は、私達が生活していくためになくてはならないものです。
しかし、地震が発生したとき、これらの対処を間違えると被害を拡大させてしまうことにもなりかねません。
事前に対処法を覚えておきましょう。
マイコンガスメーター

地震が発生したときに、被害を拡大させる「二次災害(火災、爆発など)」を防ぐため、各家庭のマイコンガスメーターには、震度5以上の揺れを感知すると自動でガス供給を停止する「感震器」が取付けられています。
火を使用していたらすぐに消すのが原則ですが、大きな揺れの中で無理に消すのは大変危険ですので、身の安全を確認したうえで、ガスの火を消し、元栓を閉めて下さい。
水道のバルブの位置
地震が発生したときには、水道の配管が破損して水漏れになることがあります。また、断水になっても蛇口が開いたままだと、復帰後に水漏れにつながりますので、水道の元バルブは必ず閉めましょう。
通常、水道の元バルブは、玄関まわりの水道やガスのメーターボックス内の水道引き込み管についています。建物の共用の元バルブ(共同住宅の場合)は、敷地内の水道引き込み管の途中にあるメーターボックス内にあります。
飲料水の蓄え

地震による断水を想定し、飲料水、生活用水を日頃から確保しておくようにしましょう。
飲料水は、1人1日あたり約3リットル必要と言われています。できれば3日分は用意しておきましょう。
この他にも生活用水の確保も必要です。水洗トイレを1回流すだけで、バケツ2杯分の水が必要であり、平均的な家庭の水の使用量は、1人1日あたり200リットル以上にもなります。日頃から風呂の残り湯などを溜めておくようにしておきましょう。
電気温水器の活用

電気温水器に、湯水取り出し用の「安心コック」を付けておくと、断水になったときでも、中に貯まっている湯水を容易に利用することができ、とても役に立ちます。
また、大型ビルなどで使われている冷暖房用水蓄熱槽に貯水されている水も、地域の消防活動用の水や、仮設トイレの洗浄、手洗いなど、災害時の生活用水として使うことができます。
消火活動の基本

地震に伴い、火災が発生しても、火が小さいうちは、消火器を使って自分で消火することが可能です。
火災と消火に関する知識を深め、冷静に対応できるようにしましょう。
消火は最初の3分間が勝負!

地震が発生した時の火災による二次災害は被害が拡大する大きな要因です。
しかし、一般の人が消火できるのは、火が天井に廻るまでです。それ以上燃えた場合は大変危険ですので、後は消防の人に任せましょう。
火災を最小限に止めるのに有効なのは、なんといっても初期消火です。火がまだ小さいうちは、比較的簡単に消火できます。消火器や汲み置きの水を使い、速やかに消火を行ないましょう。
消火器を使う手順

火災が発生し、消火器で火を消す場合は、以下の手順で行ないます。
消火器を火元へ持っていき
- ①安全ピンを引き抜く。
- ②ホース・ノズルを火元に向ける。
- ③レバーをしっかり握って噴射する。
火が自分に向かってくる危険を避けるため、使用時は火元より風上に立ち、低い姿勢で消火を行なうことがポイントです。
なお、消火剤の交換時期の目安は約5~8年です。これを過ぎたものは早めに交換するようにしましょう。
自分の身は自分で守る

予期せぬ地震に対し、私達はパニックに陥りがちです。突発的に発生する地震から自分の身を守り、速やかに脱出するにはどうしたら良いのでしょうか。
ここでは、地震から自分の身を守るための基礎知識をご紹介致します。
地震発生後15分以内

阪神・淡路大震災における死亡の9割以上は、地震発生後15分以内のものでした。また、死傷の原因の大半は、家屋の倒壊や家具の転倒でした。
この結果から、地震による死傷のほとんどが発生と同時に起こっていると言えます。日頃から住宅の耐震化を行ない、家具を固定しておくことが大切です。そして、地震発生時には机の下にもぐるなどして身を守るようにしましょう。
まずは自分の身を守れ!

在宅中に地震が発生しても、すぐに外へ飛び出すのは危険です。飛び散った瓦やガラスでケガをすることがあります。
まずは、頑丈な机の下などにもぐるなどして身を守ります。地震がおさまってからドアや窓を開け、脱出口を確保し、ガスなど火もとの処理を行ないましょう。
家の中では、割れたガラスを直接踏まないようスリッパを履き、家族同士で声をかけ合うことも大切です。
避難前の準備

普段からしっかり地震に備えておくことで、いざという時でも安全に避難することができます。常日頃からの心掛けや実際の避難時の注意事項などを覚えておきましょう。
二次災害を防ぐために
火災や爆発など、地震による二次災害を防ぐため、家から避難するときは、ガスの元栓を閉め、分電盤のブレーカーを切ってから、避難するようにしましょう。
特に電熱器具は、パニックになって電源を切り忘れると、火災につながることが多いので要注意です。また、停電になったことでつい電源を入れたまま避難してしまい、後で送電が再開してから火災になることも考えられます。
避難経路の確保

地震で家具などが出入り口付近に転倒し、逃げ道が塞がれてしまうことがあります。大型の家具や家電のレイアウトを見直し、転倒、移動した際にもドアの開け閉めができるよう、余裕をもって配置することが大切です。
また、廊下や廊下の角は比較的スペースが少ないため、ものが散らばると通りにくくなります。大きな収納棚などはできるだけ置かないようにしましょう。