消防署情報
地震についての基礎知識(3)/ホームメイト
地震の対策にはまず「地震を知る」事が大切です。
ここでは情報収集の手段、地震の兆候や地震による津波の被害等、地震についての基礎知識をご紹介します。
情報収集の手段

地震情報や知識の収集は、地震時の安否を大きく分ける大切なものです。常日頃から知識を蓄え、非常時にも確実に災害情報を得る。そんな情報収集に関するノウハウをご紹介致します。
携帯用ラジオの活用

大地震によって長期の停電になった場合、私達が日頃情報を得ているテレビやインターネットなどのメディアが使用できなくなり、情報を得ることが困難となります。新聞や広報車の巡回も、大地震発生後、しばらくはあまり機能しないと思って良いでしょう。
停電時に情報を収集するには、電池で使用できる携帯ラジオが有効です。電池は予備分も用意して、ガムテープなどでラジオに貼りつけておくと良いでしょう。
インターネットの活用

インターネットは情報が豊富で、必要な情報を自由に検索できるので、上手に利用すればかなりの知識を得ることができます。しかし、災害情報に関するサイトは、実際の災害発生時にはアクセスが集中し、スムーズに見られないことが予想されます。
また、停電によってインターネットが使用できなくなることも考えられます。ですから、インターネットでの災害に関する情報収集は、災害が発生してから行なうのではなく、常日頃から余裕をもって行なっておくと良いでしょう。
地震の兆候

地震の前兆として、これまで様々な現象が確認されています。 本格的な研究、古くからの言い伝えなど多種多様ですが、ここで主なものをご紹介します。
ザーザー、ジージー、あの電磁気異常の正体は?

地震の前に様々な前兆現象が見られることは、広く知られています。その兆候の代表的な例が電磁気的な異常です。大規模地震の前には、地中で段階的な破壊現象が繰り返されています。その動きに反応するのが地核を形成する物質のひとつ、石英です。石英は力を加えると電気を発生する性質「圧電効果」を持っており、地震前の地中の動きから電磁波を発し、電磁的な異常現象を引き起こしていると考えられています。
身近な例では、テレビの画像に縞が入る、ラジオ音声に雑音が入るなどがそれに当たります。
動物の異常行動、その代表はナマズ

「ナマズが暴れると、地震が起こる」とは、日本で古くから言われてきました。ナマズには、微弱な電気を感じる力が備わっており、その力は、同じ淡水魚であるコイやフナと比べると100万倍です。体全体に見られる白い斑点で電気を感じ取っています。
地震前に石英が発する電磁波を「異常」と感じて暴れ出し、私たちに地震の発生を教えてくれるのです。
地下水の水位変化にも注目

日本には、7世紀頃から今日に至るまで、約100回の地震に関係するとされる井戸水、わき水、温泉水の変化が記録に残されています。これらの異変は、地震前の地中圧力の変化が地下水の通り道に影響を与えたためと考えられています。
多くの「前兆現象」につき、進められる解明

この他にも、地震の前には動物が騒いだりエサを食べなくなる、いわゆる「地震雲」が発生する、花が狂い咲きする、地鳴りがするなど、多くの異常現象が報告されています。これらを「宏観異常現象」と言いますが、実際には地震発生に繋がる科学的な解明がなされている訳ではありません。統計的には多くの報告があるため、何らかの繋がりがあると考えられており、解明の研究が進められています。
地震の揺れが危険!超高層マンション

地上20階建以上の高層マンションを、日本では「超高層マンション」と呼んおり、全国で11.4万戸に達すると言われています。(平成22年4月時点)
しかし超高層マンションは、地震に対して大丈夫なのでしょうか?
超高層マンションの構造

大都市の都心部にそびえる地上20階建以上の超高層マンション、タワーマンションの構造は、マグニチュード7クラスの震度にも耐えられる建築基準法の「耐震基準」により、地震の揺れを吸収する「免震工法」や「柔構造」を採用するなど、耐震設計になっています。
- 免震工法とは
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免震工法は「免振工法」、「免震構法」とも書き、地震による激しい揺れを緩やかに変え、建物や機器・家財に被害を与えず、人命や財産を守るとともに居住性を向上させる工法です。
基礎に金属性転がり支承と積層ゴム支承などを組合せて、地震のとき、建物がゆっくりと揺れるようにすることで、建物が倒壊したり、家具などの転倒を防止するシステムです。
- 柔構造とは
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柔構造は建物全体の構造に一定の遊びを持たせることにより、揺れによる衝撃を吸収し、倒れるのを防ぐ構造です。
しかし、柔構造の超高層マンションは、倒れない反面、建物がしなる柔軟な構造のため、揺れが激しいのが欠点でもあります。
倒れなくても揺れが危険!

耐震基準に伴い、免震工法や柔構造を採用した日本の超高層マンションは、マグニチュード7クラスの地震が起きても、倒れるような心配はありません。しかし、柔構造の超高層マンションは地震による横揺れが激しいため、家財道具や冷蔵庫、食器棚などが倒れたり、テレビなど家電製品が飛んだりして危険です。
- 数メートルの横揺れも
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平成7年の阪神大震災で、大阪市にある高さ149mの超高層ビルでは、震度4だったにもかかわらず8階で机が左右に3mほど行き来したという事実もあります。また、超高層階より中高層階のほうが揺れが大きいという説もあります。
- 長周期型地震では横揺れが大きい
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特に揺れの周期が長い地震の場合、揺れは衰えず遠くまで伝わるため、建物それぞれ固有の振動周期と地震動の周期が重なり、共振が起きることがあります。そうした共振は超高層ビル程発生しやすくなるため、50階建の超高層マンションの場合、最大5mも横揺れすると言われています。
- 横揺れ防止の家具固定を
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超高層マンションでは、収納庫や和・洋タンス、書庫、食器棚などが倒れないように固定しましょう。冷蔵庫やテレビなどの家電・机などが室内を飛んだりする場合は当たったり、壁との間に挟まれたりして危険です。
平成17年7月23日、首都圏を襲った震度5強の地震では、震度4の地域の超高層マンションでさえ、食器皿が飛んで危険だったと報道されています。
→ 転倒防止金具
マンション内で危険な場所

地震ではエレベーターも緊急停止します。平成17年7月23日の首都圏地震では、震度4~5でも1都3県で6万3000基のエレベーターが緊急停止し、さらに数10分間もエレベーターの中に閉じ込められたケースが78件も発生しました。
- エレベーター
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日本エレベーター協会では、首都圏だけでエレベーターが22万7000基あり、マグニチュード7の東京直下型地震が起きた場合、その内20万基が停止し、1万6000人がエレベーターに閉じ込められると予測しています。
また、すぐに最も近い階へ自動停止してドアを開くという最新装置を備えたエレベーターはまだまだ少ないため、ほとんどのエレベーターが階と階の途中で急停止することになります。
多数のエレベーターが一斉に急停止した場合、エレベーター内の非常電話から助けを求めても、エレベーター管理会社の係員が足りなくなり、救助が遅れる場合があります。
- 非常階段
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地震でエレベーターが停止した場合、超高層マンションでは、何十階という高層階まで非常階段を使って昇り降りしなければなりません。これは高齢者や子供、女性にとっては非常に過酷なものとなります。
実際に大地震で超高層マンションの中・高層階で火災が発生した場合、非常階段は煙が充満して危険な避難路となり、逃げ場を失うことにもなりかねません。
地震による津波の被害

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【東海地震が起こる理由とは?】
平成16年12月のインドネシア・スマトラ島沖巨大地震に伴い、史上最大とも言うべき大津波が発生、27万人以上が犠牲になり、津波の恐ろしさをまざまざと見せつけられました。
日本での主な津波の被害

日本人が体験した津波による大きな被害は、これまでに5回あります。一番記憶に新しいところでは、東北地方太平洋沖地震で、東北地方から関東地方の太平洋沿岸に大津波が押し寄せ、大勢の尊い人命を呑み込んだ災害でした。
- 津波による大きな被害
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- ■三陸地震
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- 1933年(昭和8年)3月
- マグニチュード8.1
- 死者・行方不明者3,064人
- ■チリ地震
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- 1960年(昭和35年)5月
- マグニチュード9.5
- 日本の三陸沿岸などで死者・行方不明者142人
- ■日本海中部地震
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- 1983年(昭和58年)5月
- マグニチュード7.7
- 死者100人
- ■北海道南西沖地震
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- 1993年(平成5年)7月
- マグニチュード7.8
- 死者202人
- ■東北地方太平洋沖地震
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- 2011年(平成23年)3月
- マグニチュード9.0
- 死者・行方不明者27,759人(平成23年4月18日時点)
恐怖のインド洋大津波

津波の恐怖を全世界の人々に知らしめたのが、2004年(平成16年)12月26日、インドネシア北西部のスマトラ島沖で起きた巨大地震により発生した「インド洋大津波」でした。
- 史上空前の22万人以上の犠牲者
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マグニチュード9.0のスマトラ島沖巨大地震で、インドネシア、マレーシア、タイ、インド、スリランカ、ミャンマー、モルディブなど周辺8ヵ国に大津波が押し寄せ、22万人以上の死者・行方不明者を記録しました。
- 日本人観光客も犠牲に
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インド洋大津波では、タイのプーケット島などで、日本人観光客の40人程が生命を落としました。
大地震の津波被害想定

政府の中央防災会議が2003年9月に発表した東海地震、東南海地震、南海地震の被害想定では、3地震が同時に発生した場合、津波による想定死者数を最大1万人としています。
- 想定死者数
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三重、和歌山、高知、徳島の各県の沿岸では、高さ10メートル前後の津波が押し寄せ、各県に100人ないし1,000人単位で、津波の死者が出ると想定されています。
- ■東海地震
- 400~1,400人
- ■東南海地震
- 500~1,500人
- ■南海地震
- 2,600~7,100人
- 津波対策を急ぐ自治体や政府
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すでに海岸地域を持つ地方自治体では、津波による浸水が予測される地域や、浸水の程度を示した地図(ハザードマップ)を作成、公表しています。
また、政府も海岸地域から高台までの避難に時間がかかる地域のために、強固な高層ビルを「津波避難ビル」に指定できる指針づくりを進めています。
耐震・制震関連リンク
- 高耐震設計物件検索ガイド
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【高耐震】
「高耐震設計」とは、建築基準法の「最低限確保すべき耐震基準」に比べて、より高い耐震性能を有する建物の構造をいいます。具体的には「住宅品質確保促進法」における住宅性能表示制度の耐震等級の「等級2・等級3」に相当する耐震性能を有するものをいいます。
- ■住宅性能表示制度
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評価項目 : 「構造の安定(地震に対する倒壊、損傷のしにくさ)」
- 等級1
建築基準法のレベル - 等級2
建築基準法レベルの1.25倍の地震力に対して倒壊、損傷しない。 - 等級3
建築基準法レベルの1.5倍の地震力に対して倒壊、損傷しない。
- 等級1